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TOPページ > コラム > ライターMの在校生ストーリー #05「東京と多様さ」(2023.9月号)
2023.09.28

在校生コラム

ライターMの在校生ストーリー #05

#在校生#高等部

目次
始めに
東京散策
整理と待機
取捨選択と優先順位
終わりに

■この在校生コラムは【毎月28日】に更新予定です。

この連載では「等身大」「もがきながら成長している生徒の軌跡が見えること」という彼女の決めた大切な想いを軸に、スタッフや職員は修正を加えず、ありのままの彼女の生の言葉を掲載していきます。

一般的なレールに沿った公教育の学びではなく、日本と世界を舞台に、常に自分自身と向き合いながらあえて大きな挑戦を繰り返している彼ら。

楽しいだけはない、人生と社会の「答えのない問い」に向き合う学生生活。
そんな在校生の一人から毎月リアルタイムで届く想い、成長の軌跡をぜひ毎月ご覧ください。

始めに

こんにちは!
在校生ライターのMです!
現在私たちインフィニティ国際学院高等部は、南太平洋に浮かぶ島国 フィジーに来ています!
 
フィジーには英語留学に来ており、グループレッスン、ワンツーマンレッスン、アサイメントクラスの計6コマを月曜日から金曜日までの週5日受けるというカリキュラムになっています。
これに加え、インフィニティ国際学院独自で、マイプロジェクトという取り組みもしています。
自らのやりたいこと・知りたいことに対して3カ月かけて探求サイクルを回しながら取り組むというものです。
 
3カ月間全てを1つのトピックに費やすも良し、好奇心のまま沢山のことにチャレンジするのも良しです。
フィジーについてはまた次回辺りに詳しく書きます。
 
現在滞在しているフィジーの学生寮ですが、Wi-Fiがなくスマートフォンからのテザリングも上手くいかなかった関係で、締め切りまで1週間切っているのにも関わらず、2日間程パソコンが使えないという事態になりました。
 
今月分は諦めるか、スマホでコツコツ書くか迷いましたが、そのタイミングでテザリングができるようになり、なんとか今、必死に原稿を書いています。
 
 
前回のコラム更新後は、自分にとって興味深い感想を沢山いただいたという印象です。
 
ある方は「言葉から伝わる深さ感じた」とおっしゃって下さり、
またある方は「宙」という言葉を使って感想を述べてくださいました。
「深さ」と「宙」はほとんど対義的な言葉に感じます。同じ文章を読んだとき、ここまで違う感想が出てくることに驚きました。
 
人間はそれぞれが異なる視点をもち、各々の立場から発言をしていること、自分が文章を書いたときに反応を示してくれる方がいらっしゃること、そしてそれらが自分の大きな励みになることを再認識する機会となりました。

東京散策

今回は、フィジー研修の直前にあった東京研修のプログラムの1つ“東京散策”についてです。
 
“東京散策”とは、自分の将来を見据え、色々なものに捉われずに本当になりたい自分を描き、目標や夢から逆算して、この東京研修で何が出来るかを各々が考え計画・実行する時間です。
 
普段なら、私がどこに行って何を思ったのかを書き連ねますが、今回はインフィニティ生がどこに行って何を思ったのか、それに対して私が何を思うのかを書いていきます。
 
自分にとって新たな試みでどんなコラムになるのか想像できず、楽しみ半分、不安半分といった具合です。
 
どうか、上手く転がってくれれば嬉しいです。

"東京散策" ー 目標や夢から逆算して、東京で何が出来るかを各々が考え計画・実行する時間

Case1 - 4期生 H(高等部二年)

彼は、“視野を広げる”という意味であえて興味がないところに行く1日を過ごしていました。
 
私としては、高校生が将来を考えることになったとき、大学は切り離すことが難しく思えますが、彼曰く大学見学はやりたいとは思わなかったし、今じゃなくてもいいと思ったそうです。
その上で、今何ができるか考える為にHが尊敬している人を思い浮かべてみると、話の引き出しが多かったり、幅広い知識を持っていたりという共通点があることに気付いたようです。
彼にとってあの日は、広く知識を得た中で自分に何ができるか考えるきっかけを作る為の時間でした。

「あ、共感とかじゃなくて。」

これは、彼が東京散策の中で訪れた東京都現代美術館で開催されている展覧会のタイトルです。

見知らぬ誰かのことを想像する展覧会
SNSの「いいね!」や、おしゃべりの中での「わかる~~~」など、日常のコミュニケーションには「共感」があふれています。共感とは、自分以外の誰かの気持ちや経験などを理解する力のことです。相手の立場に立って考える優しさや思いやりは、この力から生まれるとも言われます。でも、簡単に共感されるとイライラしたり、共感を無理強いされると嫌な気持ちになることもあります。そんな時には「あ、共感とかじゃなくて。」とあえて共感を避けるのも、一つの方法ではないでしょうか。
 
この展覧会では、5人のアーティストの作品を紹介します。彼らは作品を通して、知らない人、目の前にいない人について考え、理解しようとしています。安易な共感に疑問を投げかけるものもあれば、時間をかけて深い共感にたどりつくものもあります。それを見る私たちも、「この人は何をしているんだろう?」「あの人は何を考えているんだろう?」と不思議に思うでしょう。謎解きのように答えが用意されているわけではありませんが、答えのない問いを考え続ける面白さがあります。共感しないことは相手を嫌うことではなく、新しい視点を手に入れて、そこから対話をするチャンスなのです。
<主催概要文より抜粋>

展示を見て、その場で何かを感じることはほとんどなく、面白いと感じたのは展示の最後の来館した方の感想が集められているコーナーだったそうです。
私の中で感受性が豊かだと解釈していた彼が、何も受け取れなかった空間がどんなものだったのかがものすごく気になりました。
 
「共感は他の人の気持ちを分かることじゃなくて、相手の中に自分の一部を見いだすことだと思った。」
 
これは、感想コーナーにあった感想の1つとして彼がプレゼンの中で共有してくれたものです。

この言葉を聞いたとき、ハッとしました。
また、息を飲むような、大切な何かを気付かせてくれるような言葉に出会った気がしました。
私は「共感」というトピックで後悔したことがあり、その頃の自分に時間がたった今になってヒントを貰えたような、不思議な感情になりました。

ホテル雅叙園

ここは彼が東京散策で訪れた場所の1つです。
90年以上の伝統が受け継がれ、日本画や美術工芸品に彩られた唯一無二のミュージアムホテルです。

それぞれのブースにそれぞれの背景とイメージがあり、光・音・匂いがとても印象的だったようです。
神々しい展示の数々に圧倒され、この経験から五感を使って感じるアートが比較的好きだということが分かったそうです。

ホテル雅叙園 ー 日本画や美術工芸品に彩られた唯一無二のミュージアムホテル

彼の過ごした1日を知って思うこと

彼のプレゼンを聞いて、視野を広げる為に自分の興味のないことをするのが彼らしいと感じました。
 
彼の中での東京研修の目的は、東京散策で何かを学ぶことというよりもこれから旅をする仲間が増えることだったようです。
新たな仲間に会い、これからのインフィニティでの生活や研修のイメージを掴んだり、仲良くなったりしたいといった思いが大きかったため、恐らく東京散策に全力を注いだという訳ではないのでしょう。
しかし、私の何かを揺さぶってくれるような体験談を聞かせてくれるのが流石だなと改めて思いました。

Case2 - 5期生 R(高等部一年)

彼は、有名になってほかの有名人に会いたいという目標を持ち、それを実現するために1日を使っていました。
有名になることで新しい世界が見えるのではと考えているそうです。

国立科学博物館

有名になる方法は沢山あるけど、起業家や投資家といったルートを考えた時、どうしてこの施設がクラファンで成功して有名になれたか知りたかったとの事です。

ただ調べることもできたはずですが、現地に行ってか意識の変化があればと考えた彼はインフィニティがしていることを1人でも実行しているように思えました。

皇居

彼になぜここを訪れたのか質問したら、
深い理由はない。近くにあったから
と返ってきました。

フットワークの軽さもまた彼の特徴に思えます。
目的や目標は重視されやすいものですし、やりたいことがはっきりしていたり、リミットが迫っていたりする時には不可欠な要素ですが、そこに捉われずに何かを判断してみるのも面白いのかもしれません。

彼の過ごした1日を知って思うこと

4月に彼が入学してから今までを改めて振り返ると、メンバーが変わることによる雰囲気の変化を再認識させられます。
特にこの学校は、少人数だからこそ全体に対する1人1人の影響力が大きい環境です。

そういった視点で見ると、この東京散策1つ取っても、昨年度にはなかった視点からアプローチして1日をデザインしていて、感化されるものがありました。

整理と待機

東京研修中、紹介したHやRをはじめとするインフィニティ生のプレゼンや出会った方々のお話を聞く中で、情報量の多い日々に自分の脳が追いつかなくなっていきました。

そして、整理をしようと思ったけど、疲れていて頭が回ってくれませんでした。
そんな時にふと、「これまでの自分は情報を整理しているというより、残るものを待っていただけなのだ」と思いました。

その事実に気付いたとき、焦りと安堵が入り混じった複雑な感情になりました。
意識的に頭を回して整理出来てないことには恐怖や焦りを感じましたが、残ったものが大事なのだと無意識的に思えていたことがなぜか私を安心させました。
「残」るというより「遺」ることを待っているような感覚もあって、それにどこか納得している気もします。

意識と無意識を上手く使って賢い情報処理ができたらと思います。

取捨選択と優先順位

「何かを得るってことは何かを捨てるってこと」

これは4期生のCが言っていたもので、私もよく使っている言葉です。
感覚としては、これを理解していたし、何かを選択するときに意識していたことだけど、ここまで簡潔かつ分かりやすく言語化してくれたことに感動したのを今でもよく覚えています。

自分の中で影響力を持っている言葉で、大切にしていた考え方ですが、だからこそ少し縛られすぎていたのではないかと思う出来事がありました。

東京散策の日、私が普段から愛用している化粧水の会社の役員の方とお話させて頂きました。
将来の選択に迷っている自分の現状を伝えた時に、
 
「決めるって優先順位を決めるってことだから」
 
とおっしゃってくださいました。

その言葉を聞いたとき、何かを選んだり決めたりする時に必ず何かを捨てないといけないという固定観念があることで動きづらくなっている自分を認識できました。
 
取捨選択ではなく、優先順位を決めるように心がけると余裕が出てきたときに、人生をより豊かにする為の行動を取れるような気がします。
「捨てる」のではなく「今じゃない」と決める。そんなイメージです。
 
私は、自分が感動する言葉や、言語化が綺麗にできていて自分の感覚を代弁してくれているかのような文章、自分にとって新しくて取り入れたい価値観に出会うとそれにばかり気を取られ、他の要素を見落としてしまうことが頻繁にあります。

今回のこともそのいい例ですし、またこれに気を取られると同じような失敗をしてしまうことも予想できます。
そうならないように、注意しながら思考をしていきたいです。

終わりに

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回は言語化の難しさに悩みながら書き始めた回でした。
心の中にあるふわっとして形になり切っていない思いを言葉にするとき、クッキーの型を取っているような感覚になります。

見栄えは良くなるけど、それと同時に形にした部分と同じくらい大事なところがそぎ落とされているような複雑な気持ちです。
現段階で、取るに足らなかったり歪かもしれないけれど、言語化されている部分と同じく、削がれた部分も確実に自分の感じたことであるはずなのに、それを形にできない無力さが不甲斐なくなります。

自分の感情や思いにピッタリと合う言葉に出会い、人に伝えることが出来た時の感動を知っているからこそ、型取ることをしたときの勿体なさが、腑に落ちません。

そんなことを思いながら書いたから、いつもより時間がかかった気がします。
時間をかけた分、1人でも多くの方の心に何か残ってくれたら嬉しいです。

どうかこの活動が私と読んでくださる方にとって何かのきっかけになり、
いつか「意味があった」と笑って振り返ることができる、確かな道になりますように。

PROFILE

インフィニティ国際学院 高等部 在校生ライターM

インフィニティ国際学院 2022年4月入学 4期生