「非日常の旅」で得た幸せとワクワク / ヨーロッパ研修
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■この在校生コラムは【毎月28日】に更新予定です。
この連載では「等身大」「もがきながら成長している生徒の軌跡が見えること」という彼女の決めた大切な想いを軸に、スタッフや職員は修正を加えず、ありのままの彼女の生の言葉を掲載していきます。
一般的なレールに沿った公教育の学びではなく、日本と世界を舞台に、常に自分自身と向き合いながらあえて大きな挑戦を繰り返している彼ら。
楽しいだけはない、人生と社会の「答えのない問い」に向き合う学生生活。
そんな在校生の一人から毎月リアルタイムで届く想い、成長の軌跡をぜひ毎月ご覧ください。
◼️アーカイブ記事一覧
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#6 世界一幸福度が高い国で考えた「幸福ってなに?」
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始めに
こんにちは!在校生ライターのMです!
今回は2024年1本目ということでいつも以上に気合いを入れて書きたいと思います!
今回はヨーロッパ研修についてです!
4週間弱でしたが5か国を周り、とても濃い研修となったので皆様にも是非その模様をお伝えできればと思います。
ヨーロッパ研修
ヨーロッパ研修は、1月15日から2月10日の約4週間で
フランス(パリ)
スペイン(バルセロナ)
イタリア(ジェノバ)
スイス(ジュネーブ)
ドイツ(ベルリン)
の5都市を周る研修でした。
この研修の目的は、「近代文明の元となったヨーロッパで歴史や文化、芸術のルーツを学ぶ。さらに、世界がどのように変化していっているのか体感する。また、自発的に旅を計画する体験から計画立案能力やタイムマネジメントの力、遂行能力を高めつつ世界で学ぶ力を養う。」をテーマに、インフィニティ国際学院が考える8つのコアスキルを磨くことでした。
8つのコアスキルとは、ビジョン構築力、共創・変容力、語学力、コミュニケーション力、情報判断力、創造的思考力、突破力、セルフマネジメント力を指します。
これらは、インフィニティ国際学院が掲げる教育理念「10年後の世界を変える人材を育む」ために必要なスキルです。
インフィニティ国際学院では、これらのスキルを身につけ、これからの時代を楽しみながら生き抜いていけるよう学習カリキュラムを組んでいます。
今回の研修では、パリ、バルセロナ、ジェノバ、ベルリンの4都市でアワージャーニー(our journey)を行いました。生徒7人が2つの班のに分かれ、計11日を1人当たり55,000円の予算でやりたいことを実行していくという内容です。
予算には交通費と入場料や体験費が含まれ、どういうバランスで使うかは自由です。あらかじめ、門限だけが決められており、それまでは各チームどのように時間を使っても良いこととなっています。チューター(※)は安全の為に付き添いますが、基本的に見守るだけというスタンスです。
またジュネーブでは、国際連合ジュネーブ事務局での国連ツアーを通し、国際連合について学びました。
今回のコラムでは、アワージャーニーについて書いていきます。
※チューターとは先生でも家族でも友達でもない、ナナメの関係の大人。何かを教えたり、決定をしたりする存在ではなく、一人ひとりが考えを深め、自分自身で決定し行動するためのサポートを行います。
準備編
私達は12月下旬からアワージャーニーの計画を始めました。
通常の研修と違い、生徒が1カ月以上前から準備を始めたのは、ヨーロッパにある多くの名所が予約を早めに取らないと入場できなくなってしまう可能性があるからです。
この準備を始めた時期は冬休みに差し掛かる時期だったこともあって、私達はオンラインでミーティングを重ねました。
目的決め
まずは、目的を決めるところから始めました。
目的を決めようとして案がすぐに出るわけではないので、最初にヨーロッパへのイメージやヨーロッパ研修でのやりたいことを共有することにしました。
私はその場で
「ただ幸せになりたいだけなの!」
と発言しました。
ヨーロッパ研修をイメージしたときにいくつもやってみたいことはありましたが、それらに一貫したテーマは無く、ただ「幸せになりたい」と思っていました。
今考えると、冬休み直前の私は、フィジー研修を受けて「幸せとは何か」を考えたこと、冬休みの予定が自分にとってワクワクするものだったこと、それらが精神面での安定をもたらしたことから「この状態かそれ以上がずっと続いてほしい」と願っていたように思えます。
また、「旅」への感覚が自分の中で変わったということも感じていました。
この学校に入って、旅が日常になっている感覚があり、非日常に出会った時の感動がなくなってきていました。
旅に慣れてきている状態の自分は嫌いではなかったけど、どこか「冷め(てしまっ)た自分」を認識するようになりました。
特にヨーロッパ研修は、ヨーロッパという地が自分がずっとずっと行きたかった場所で、そこに行けるはずなのに「慣れ」と「研修」と考えた時の焦りや不安感があって、旅が好きになった頃や入学したての頃みたいにワクワクしなくなってきてました。
ワクワクしていた自分を思い出すとただただ楽しかったような気がして、そうでない今の自分を見つめた時には悲しさやどこかぽっかり空いた穴のようなものを感じていました。
そのため、ヨーロッパ研修では、旅のワクワクを取り戻すことで、旅を通しての幸せを発見したり再認識したりして「旅の中で、自分をより幸せにしたい」と考えるようになりました。
チームメンバーは「ヨーロッパの建築や歴史を広く学びたい」や「ファッションに興味があるからファッションについて学びたい」など私の思いに比べたら具体的な内容でした。
抽象的すぎる理想を持つ私と具体的な思いがある周りとでは方向性が違い、目標決めに迷いました。
しかし、「みんなは根本的に何を求めているんだろう?」「みんなの思いの共通点はなんだろう?」と考えてみると、見えてくるものがありました。
結果、私達のチームでは「心が動く体験をする」を目標として定め、旅の計画を始めました。
チーム名
目的を決めた後にチューターからチーム名を決めるように言われ、チーム名を考え始めました。
これもまた最初は案が出なくて雲行きが怪しかったのですが、今回のメンバーの要素をシンプルに捉えるだけでいいと考え、まずは3人のチームであることに着目しました。
ヨーロッパで最初に行く国がフランスだったのでフランス語で「3」を調べると、「トワ」と出てきました。
響きがとても好きだったので、もっと他の意味も掛け合わせることができないか考えました。
「トワ、トワ、トワ…。」
と頭の中で反芻していると、「永遠(とわ)」という言葉が浮かびました。
「永遠」とは「インフィニティ」とも言い換えられて、チーム名にピッタリだと思いました。
そこまで考えたところでチームメンバーの2人に提案すると、すぐに良い反応を貰うことができました。
こうして、フランス語の「3(トワ)」と、「永遠(とわ)=インフィニティ」を掛け合わせた「チーム トワ」が出来上がりました。
旅の計画
ネットで情報を知り、何度も調べて楽しみにしていた旅行先の観光スポットが期待外れなこともある。
いつもと変わらない友達との会話の中で勧められた一曲が人生を変えてくれることもある。
「心が動く体験」と言っても、どこで心が動くかは分かりません。
そのきっかけがどこに転がっているかなんてのも知ることは出来ません。
だから、より多くのきっかけを作ろうと、下調べも予約もできるだけして、沢山の場所に行くことにしました。
パリのルーブル美術館やバルセロナのサグラダ・ファミリア、ベルリンにあるベルリンの壁など、観光名所と言われている場所はもちろん、「広場で現地の人にインタビューして、その人からおすすめスポットを聞き出す」といった偶発的な出会いを求める計画も立てました。
計画過程では、今回のチームメンバーとの旅の計画やオンラインでのミーティングは初めてで、それぞれがどのように計画を立てていくのが得意か、互いに理解を深めながら進めたのでスムーズに案が出ない場面もありました。
また、行きたいと思っていた場所が行く日の1週間前にならないと予約が出来なかったり、学院のカードのセキュリティが強くて決済が出来なかったりといったこともあり、準備は一筋縄ではいきませんでした。
しかし、その度に「心が動く体験をする」という目的に立ち返って考え直していくことで想定していたよりはスムーズに進みました。
【チーム トワ】計画一覧
場所 計画内容 パリ ルーブル美術館/パンテオン/ノートルダム大聖堂/シテ島/遺跡納骨堂/サントシャベル/ガルニエ宮 バルセロナ バルセロナ水族館/サンタマリアダルマル教会/サンタエウラリア大聖堂/グエル邸/カタルーニャ広場でインタビュー/グラシア通り/カサ・バトリョ/カサ・ミラ/サグラダ・ファミリア ジェノバ ガリバルディ通り/Palazzo Spinola National Gallery/フェッラーリ広場/コロンブスの家/街歩き/ジェノバ水族館博物館/宮殿/ダルベルティス城 ベルリン イーストサイドギャラリー/壁博物館/国会議事堂/ベルリン動物園/ベルリン歴史防空壕博物館
もう一方のチームは、個人で動ける時間を多く設けていて、何かやりたいことが出来た時に動きやすいスケジュールになっており、私達のチームとの計画の違いがはっきりしていました。
実行編
「旅にハプニングはつきもの」とは良く言ったもので、まさにこの旅も思い通りにならないことだらけでした。
■ハプニング1 公共交通機関
公共交通機関のシステムはもちろん日本とは違い、1都市目であったパリでは戸惑いました。そのためバスに乗り間違えてしまい到着時間が遅れてしまうことがありました。
また、英語をあまり話さない方もいて、私自身も英語は得意ではないので、意思疎通を図るのが難しく思えた時もありました。
しかし、こういう時にこの学校で言われるのは「突破力」です。
これまでに何度か言われたことがあったので身についたのか、気合だけで乗り切りました。
■ハプニング2 体調不良
私が1週間程風邪で完全に寝込んでしまったり、他のメンバーも体調がすぐれない日があったりと、予定していた場所に全員で行けない日が続いたタイミングがありました。
しかし、それにも病み上がりの時は負荷を軽くして活動するなどして対応しました。
どちらも、計画にないことではありましたが臨機応変に対応できたと思っています。
それを振り返って気付いたのは、この学校に入ってから、予定外のことに対しての抵抗感や焦りが無くなったという変化です。
国内外問わず旅をしていると、思い通りに行かないことは多々あります。
さらには、ただ旅をするだけではなくて「学び」に行っているとなると、計画通りに行くことはむしろ稀な気がします。
こういった環境に2年弱いたので、焦らず対応できるようになってきたんだと実感しました。
コンフォートゾーンを抜けたチャレンジ
バルセロナからジェノバに移動する船の中でチューターから「ヨーロッパ研修中にコンフォートゾーンを抜けたチャレンジをしてください。最終発表ではそれを話してください。」という話がありました。
コンフォートゾーンを抜けたチャレンジなんて考えていなかったので、その話を聞いた瞬間戸惑いました。
それを聞いた日は1日中、その言葉が頭から離れなくて悩みました。
「ただでさえ、チーム トワはスケジュールがある程度詰まっている中で、どんなチャレンジができるのか。」
「このヨーロッパ研修だからできるチャレンジ、このタイミングだからこそできるチャレンジとは何か。」
自問自答し続けて考えに考えた結果、私がヨーロッパ研修中に実行したチャレンジは「ヨーロッパのそれぞれの街をモデルに短編を書く」です。私はパリ、バルセロナ、ジェノバ、ジュネーブ、ベルリンの5都市をモデルにそれぞれ短編を書き、私だけの「ヨーロッパ 短編集」を作ろうと決めました。
ヨーロッパに来る飛行機の中で漠然と「何か書きたい」と思っていて、そこにヨーロッパでの挑戦という観点を加えて考えた時にぴったりだと思いました。
それに、インフィニティ国際学院では「そこでしか出来ない学びを」と言われることが多い気がしていましたが、「じゃあその『学び』は何になるのだろう。」という漠然とした不安と疑問みたいなものがあって、もやもやした感情や焦りを抱いていました。
でも、今回の「短編集」というチャレンジは、学びを結晶化することがゴールだから、気づき・学び・発見の領域で止まらせないことができると思いました。
だから、今回のチャレンジを思いついたときには、それまで抱いていた焦りや不安はなくなっていて、ワクワクを持った状態で挑むことができました。
ただ、もちろんやりきれるかという不安は出てきました。
それでも、そのネガティブな気持ちを上回る期待があり、ポジティブな気持ちで書き始めたと記憶しています。
チャレンジの結果
結果から言うと、約10日間を通して、5つの物語の中で10700字程を書きました。
(まだ書き上がっていないものもあり、全く整っていないので、ここでお見せすることは叶いませんでしたが、推敲後にチャンスがあったらどこかで公開するかもしれません。もし興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら、その日をお待ち頂けると幸いです。)
書いている間に多くのことを感じました。
まず書きたいのは、チーム トワのメンバーの臨機応変さと行動力についてです。
私はチャレンジが定まった瞬間に、「時間」という壁にぶち当たりました。
チーム トワには沢山の予定があったので、空き時間を上手く見つけて作業を進める必要がありました。
しかし、それでも時間が足りないので、スケジュールに余裕があるもう一方のチームが羨ましくなる瞬間もありました。
私は少しでも多くの時間が欲しいと考え、もともと予定がある日をどうか個人の時間にしてくれないかとチームのメンバーに頼みました。
自分の要望だけを考えて伝えてはいけないと思い、チームメンバーのチャレンジも知っていたのでそれに取り組む時間にもできるという相手側のメリットも伝えて提案しました。
すると、すぐに了承してくれて作業の時間を得られました。
その日は直前に予定が変更になったにも関わらず、それぞれが有意義な時間を過ごすことが出来たと思います。
何かをやりたいと思ったときにそれを口にすることも、行動することも簡単ではなくて、さらにそれに協力してくれる人がいるのも当たり前ではないはずです。
しかも、互いが協力的であっても行動自体が1人であれば挑戦せずに逃げることも簡単なのに、みんな何かしらの学びや収穫があったのは1人1人の行動あってのことだと思います。
この点に関して、チームメンバーにも自分自身にも拍手を送りたいです。
また、私個人としては「駄作を重ねる」という作業を始めることが出来たと思っています。
これまでは「文章に対する経験値が足りなさすぎるから、とりあえず数をこなす作業をしないといけない」と感じていました。
その課題意識が上手く働いてくれて、チャレンジを通して課題解決の方向に舵をきれたと思っています。
一方で今回のチャレンジは情報収集から作業が始まるので、こういったコラムの準備とは違って大きなワンステップが書き始める手前にあり、想像以上に時間がかかってしまったという反省点もあります。
そういった中で時間との戦いになったときに、話をまとめるのが雑になってしまったりこだわりたい表現にこだわり切れなかったりしました。
まだ反省点の洗い出しも不十分だと感じているので、洗い出し切ってからもっと効率的な作業方法や自分のスタイルを今後模索していきたいです。
振り返り
「心が動く体験をする」と始まった私達の旅は多くのハプニングに遭いながらも、計画していた旅の中でも、それぞれのチャレンジの中でも学びや得られたものがありました。
これまで私自身の見つめる先が定まっていなかったことで、得たいものが得られた研修はほとんどないと勝手に感じていて、私にとっての研修への期待値は下がってしまっていたと思います。
期待値が下がるからこそ、偶然訪れた幸福を大きく感じることもあるけど、私の場合はそちらに転がっていませんでした。
それはもちろん、私にとってあまりいい状況ではありませんでした。
漠然とした何かを求め続けているけど、それは具体的でないから動けないし何も得られない。期待値が下がるからモチベーションが下がって、また動けなくなって、いいことは起きないからまた期待値が下がるの繰り返しだった気がします。
しかし、今回の研修はそのループを一度自分自身で断ち切ることが出来たのではないかと思います。
やりたいことを思いつき、行動して、書ききれなかったとはいえ出来る限りをやった今回のチャレンジでは、学びの先にある「やりたいこと」が出来た上に、さらにそこから学びがあったように思えます。
チャレンジがあったヨーロッパ研修は慣れ切った「日常の旅」ではなくて、私が求めていた「非日常の旅」で幸せな時間でした。
私の中で、かつてのワクワク感を得られた特別な研修になりました。
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回は、自分が何かを書いたり言ったりする場所が「自分の拙い言葉や文章を許して貰い、自分を理解してもらう場」としてではなくて、実際にそういった側面があったとしても、「発言する責任や文章を書いて公開する責任がある場」であると考えて書きました。
そういった場とはどういったものなのか、拙い文章をどこまでそうでないものにできるかが重要だと思ったので、それによく悩みました。
そんな今回のコラム、皆様にはどのように届いたでしょうか。
是非、感想等頂けますと幸いです。
どうかこの活動が私と読んでくださる方にとって何かのきっかけになり、
いつか「意味があった」と笑って振り返ることができる、確かな道になりますように。
GALLERY
PROFILE
インフィニティ国際学院 高等部 在校生ライターM
インフィニティ国際学院 2022年4月入学 4期生